東京都八王子市は、資料動画化サービス「SPOKES(スポークス)」の利用を開始したと、サービス提供企業の株式会社Bloom Actが2026年10月に発表した。市は行政手続きや制度の説明を動画化することで、説明内容の標準化と窓口・電話対応にかかる職員の負担軽減を図る考えだと、Bloom Actの案内が伝えている。
導入の目的と期待される効果
Bloom Actの発表によると、SPOKESは既存のPowerPoint資料をアップロードするだけで、撮影や録音を行わずにAIナレーションや字幕付きの動画を作成できるサービスである。視聴者が必要な項目を選んで見ることができるインタラクティブ機能や、視聴ログを取得して分析する機能も備えることから、自治体側はいつ、どの部分がどの程度閲覧されているかを把握できる。
導入背景についてBloom Actは、行政情報は内容が複雑で説明事項が多岐にわたり、市民にわかりやすく伝えることが求められる一方、職員が個別に同じ説明を繰り返すことで対応時間の確保や説明内容のばらつきが生じる点を指摘している。SPOKES導入は、こうした課題への対応策の一つとして位置づけられている。
「ファーストカスタマー・アライアンス」を通じSPOKESを活用するとしている。
活用予定の分野と具体例
Bloom Actは、八王子市が当面以下の用途でSPOKESを活用する予定と説明している。
- 児童手当や医療証に関する説明(窓口対応やオンライン申請時の案内、還付手続きの案内)
- 研修・教育関連(研修動画、教育課程の説明、部活動改革に関する保護者向け周知)
- 精神障害者保健福祉手帳に関する優遇制度などの説明
これらの分野で動画を用いることで、説明内容の均一化、窓口や電話での説明時間の削減、オンライン申請における補助的な説明手段の提供を期待していると案内文は伝えている。
導入技術の特徴と自治体運用への示唆
SPOKESの評価ポイントとしてBloom Actは、以下を挙げている。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 動画作成の容易さ | PowerPointをアップロードするだけでナレーション付き動画を生成 |
| AI音声の品質 | 高精度のナレーション、地名や専門用語の微調整が可能 |
| インタラクティブ機能 | 目次選択、アンケートやテストの組み込み |
| 視聴ログ取得 | 再生回数や視聴箇所の可視化、複数URL生成で視聴者分析 |
自治体がこうしたツールを運用する際は、説明内容の正確性や個人情報の取り扱い、AI音声が読み上げる名称や制度説明の表現に対するガイドライン整備が不可欠となる。Bloom Actの案内にも、地名や専門用語の微調整が可能である点が強調されているが、最終的な説明責任は自治体側にある。
今後の課題と市民への影響
動画化は利便性向上につながる一方で、すべての市民がオンラインでの説明にアクセスできるわけではない。高齢者やデジタル弱者に対する対面・書面での支援をどう維持・連携させるかが今後の課題となる。Bloom ActはSPOKESの採用を通じて自治体の情報発信を支援する立場だが、市は導入に当たり、運用ルールや周知方法、評価指標の設定を進める必要がある。
今回の導入は、東京都が運営する「ファーストカスタマー・アライアンス」を通したもので、合同会社デロイトトーマツが事業運営を担う枠組みの一環として実施された。Bloom Actは本社を茨城県つくば市に置き、代表取締役社長は高野峻氏であると発表文に記されている。
八王子市がSPOKESをどの程度の範囲で、どの優先順位で導入するかは今後の公表資料や市の告示を待つ必要がある。市民への説明の分かりやすさ向上と職員の業務負担軽減という目的を実効化するため、市内の各部署での試行導入と評価、そして紙・対面サービスとの並行運用が求められる。